2011年04月25日

福島原発事故、レベル7に

 東京電力福島第1原発事故がチェルノブイリ原発事故と同等の「レベル7」に国際評価尺度が引き上げられた。11日には政府が原発から半径20キロ圏外で、放射性物質の累積量が高い飯舘村、葛尾村、浪江町などを「計画的避難区域」に指定したばかり。風評被害に悩まされている住民からは「避難したり戻ったりで大変なのに…」「この先どうなるのか」と不安の声が上がった。

 飯舘村の酒類販売業、菅野治さん(59)は、福島第1原発の事故がレベル7に引き上げられたことについて、「旧ソ連のチェルノブイリのようになってしまうのだろうか。避難が続くようだと、村は崩壊してしまうのでは、と不安にかられる」と話した。

 計画的避難区域指定についても「村からまだ説明がないので、いまのところ対応のしようがないが、避難となると大変だ。商品の在庫を抱えており、村民が避難してしまうと、どうしようもなくなる。それでなくとも、飯舘村は風評被害で村外から来る人がいない。この先、どうなるのか」と困惑した。

 飯舘村の県立相馬農業高校飯舘分校の矢森健一分校長によると、全校生徒81人の8割が飯舘村民。20人前後が村外で避難生活をしているというが、21日に学校を再開する予定で準備を進めていた。

 「昨日突然、(計画退避の)ニュースが入り、村の教育委員会に話を聞きに行ったところ。移住先がはっきりしていない段階だが、保護者にも電話で今後の意向を聞いている。村の判断を待っているだけでもだめなので、避難している生徒には転学を勧めることになると思う」と矢森分校長は困惑した様子。

 同村でガソリンスタンドを経営する女性は「避難しなくてはいけなくなるが、店を空っぽにしていいのか。避難先で仕事があるわけではないから、どうやって生活していけばいいのかも分からない。一度避難して戻って来て、また避難しろと言われて困惑している人もいる」と話した。

 「住民の不安は高まっているが爆発が起きたのではなく、状況は大きく変わっていない。16日までに村内全地区で住民への説明をしっかりやる」と飯舘村の門馬伸市副村長は冷静に対処する方針を強調した。

 門馬副村長は「高齢者、妊産婦などの避難はすでに進んでいる。じっくり計画を立て、落ち着いて対処したい」と述べた。ただ、今後の対応については、「役場機能や村民の生活水準の確保など真剣に考える課題は山積している」と話した。

 町の一部が計画的避難区域に指定される見込みの川俣町の49歳の課長補佐は「今後どうなっていくのか大変不安だ。町の一部が計画的避難区域に指定されたばかりで、今まで通りの生活をいつ取り戻せるのか。私どもが何かをしたわけではないのに…」と憤りを露わにしていた。

 葛尾村の金谷喜一総務課長は「福島第1原発の事故については、村としては、以前から『レベル7』にあるという認識で対策を進めてきたので、今回引き上げられたからといって、特にコメントすることはない」と冷静に受けとめた。

 また「村民には自主避難を呼びかけており、約1500人が村外に避難を完了している。残る約60人にいま勧告しており、計画的避難区域に指定されても、あわただしく対応することはない」と金谷課長は話した。




[産経新聞ニュース]より



 日本はおろか世界全体が懸念する原発問題ですが、福島県の人たちは一番の被害者であることは言うまでもありません。帰るところがないというのは、建物が全壊して住めないということとは次元の違う問題がありますね。被災した当事者と免れている他の地域の住民にはどうしても温度差が出来ることは仕方がありませんが、少なくとも政治家や東京電力幹部には表面的な同情ではなく、真剣に今後の生活再建に取り組む強い意志を見せて欲しいです。  


Posted by apollon at 08:29